多汗症(たかんしょう)
手のひらや足の裏、わきの下は誰でも緊張すれば汗が出るもの。
クールに見えるネコでさえ、緊張すると足跡が着くくらい肉球に発汗するんですよ^^
でも、その程度によっては日常生活の妨げになるほどで、本人にとっては非常に深刻な問題になります。
多汗症ってご存知ですか?
多汗症には、全身の汗が増加する『全身性多汗症』と体の一部に汗が増える『局所多汗症』というものがあります。
さらにははっきりした原因のわからない原発性といわれるものと、感染症や内分泌代謝の異常、神経疾患や神経障害などの原因がある程度はっきりしているものとに分類されます。
原発性局所多汗症とは、手のひら・足の裏・わきという限局した部位から両側性に過剰な発汗を認める疾患です。最近の分類では頭部や顔面にも多汗症があるとされています。
発汗を促す交感神経が通常より興奮しやすいためともいわれていますが、まだはっきりしたことはわかっていません。
幼少期または思春期頃に発症し、手のひら・足の裏は精神的緊張で多量の発汗があり、なかには滴り落ちるほど重症の場合もあります。
本人にとっては、紙のページが破けてめくれない・人と握手や手をつなぐことができない、電気機器が壊れるので触れないなど深刻な悩みとなったりします。
腋窩(わき)は精神的緊張や温熱刺激により左右対称性に多汗となり、下着やシャツにしみができるほどになります。
顔・頭の場合は熱いものの摂取後やストレスにより洗髪・洗顔後のような状態に汗が滴り落ちることがあり、対人関係に支障をきたし、いずれの場合も、ひどい場合は引きこもりになることさえあるようです。
手足の多汗と腋窩(わき)の多汗は合併することもあります。
また遺伝的な要素もある程度の割合で関わりがあると言われています。
約10年前の全国疫学調査で、原発性手掌多汗症患者さんの有病率は人口の約5.3%(足底2.8% 腋窩5.7% 頭部4.7%)と高い割合であること、そのうち医療機関にかかる割合は1割以下であることなどが明らかになりました。
手足・わきの汗で悩んでいても、なかなか病院を受診しづらいというのが実情なんでしょうね;;
治療としては次のようなものがあります。
①塩化アルミニウム水溶液の外用(すべての部位に適応)
塩化アルミニウム水溶液を、単純に塗布または手足の場合は塗布後にラップや手袋・袋などで密封して使用します。
汗の出口に蓋をすることで汗が出にくくなるようにしていきます。
②イオントフォレーシス(手・足に適応)
イオントフォレーシスは、多汗症の部位を水道水に浸し、それに微弱電流を流す療法です。水に非常に弱い電気を流して生じた水素イオンが汗を出す細胞に作用し、汗を作れなくします。
③ボツリヌス毒素の局所注射療法(腋窩は重症の場合保険適応、他部位は保険適応なし)
④手術:胸腔鏡下胸部交感神経遮断術(手に適応)
⑤内服療法
⑥その他:精神療法・レーザー治療・神経ブロックなど
2015年度版の多汗症の治療ガイドラインでエビデンス(治療における根拠)が高いとされているものは①②であり、③④は症例を選べば効果が高く、⑤⑥は他に治療がなければ試してみてよいものとなっています。
①の塩化アルミニウム水溶液の外用は、すべての多汗症に有効かつ簡便な方法なので、まずはやってみる価値がある治療法と思われます。
②については特殊な機械が必要なため、受診前に治療が可能かどうかを皮膚科・美容皮膚科などに問い合わせてみると良いと思います。
たかが汗、されど汗。
『多汗症』と診断されるほどひどくない場合でも、汗をかくこと・その汗が臭ってしまうことは誰でも気になりますよね^^;
当院では塩化アルミニウム水溶液を院内製剤として作成・販売しています。
皮膚が弱くてカブレなどが心配な場合も、塩化アルミニウムの濃度を調整することができるし、カブレた場合もその治療を併せてできるのでお気軽にご相談くださいね^^
『多汗症』と診断されなくても使用できますよ~
汗でお悩みの方は、ぜひ一度おためしください!!