スポーク外傷って何?と思われる方がほとんどでしょう。
おしい!! けど違います。
自転車などの回転中のスポークに足がはさまって起きる外傷を「スポーク外傷」と表現します。
さて「スポーク」って?と思われる方も多いでしょう(^_-)-☆
そうそう、その指の分かれたところに挟まって・・・・ではないですね。
いろんな方面から怒られそうなので、そろそろマジメにやりますね~('◇')ゞ
「スポーク」とは自転車の車輪を構成する部品の名前で、車輪の中心にあるハブと外周部を支えているリムをつないでいて、基本的にはハブから放射状にのびています。
だいたいは二人乗りの後部に座っている時に、脚をぶらぶらさせて何かの拍子にスポーク部に足が巻き込まれて起きる現象で、病院を受診するその大部分が小学生以下のお子さんです。
キズそのものは擦過創(皮膚表面が鈍的外力によって面状に擦過されることで生じた創傷)・挫創(鈍的外力によって皮膚軟部組織が圧挫され、皮膚が離断したもの)・摩擦熱傷(皮膚が擦過されたときの摩擦熱で皮膚深部への熱損傷をきたしたもの)などが混在し、見た目以上に治りが悪く数か月の通院が必要になることもあります。
最初はカスリキズのようなたいしたことのないものとして放置し、どんどん黒ずんだりシルが出たり赤く腫れたりすることで慌てて病院を受診する方が大半です。
中には受傷時に病院を受診したにも関わらず、十分な知識のない医師から骨には異常がないしカスリキズだから様子を見ても良いといわれる方も、残念ながら少なくありません。
ヤケドの治療と同じで、十分な安静と擦れ・乾燥の防止を行わないとアッと言う間に深くなって治りにくくなります。更に治りが遅くなったために、キズアトは盛り上がったり引きつったり、場合によっては痛み痒みを伴ったりするようになります。
この先には症例の写真がありますので、注意のうえ閲覧下さい。
8歳の女のコ、2019年4月20日父親の自転車の後部座席に乗車中に受傷しました。
直ぐに救急病院を受診してレントゲンに異常がないと言われ帰宅しましたが、腫れと痛みが続くため二日後の4月22日受診されました。創部は乾燥して一部黒色調に変化し、周囲には感染を示す赤みがありました。
抗生剤の内服と創には外用剤を使用し、足関節の運動を抑制して松葉づえ歩行で患部の安静を行いました。
受傷10日目には黒色の壊死組織がとれ皮膚潰瘍の状態になりました。周囲の浅い部分は上皮化してきました。
治るべきところは治りましたので松葉づえ歩行は終了し、皮膚潰瘍の治療を継続しました。
受傷1か月目の状態です。徐々に潰瘍部が縮小してきました。
受傷72日目(約2.5カ月)で上皮化(完全に皮膚でおおわれた状態)しました。
ここからはキズアトを治すための治療に変わります。
外用剤保護と物理的な圧迫を行います。
上皮化後1.5カ月目です。
時期的にキズアト(瘢痕)が一番目立ってくる頃ですが、予想された経過より良い状態が保てています。
上皮化後6か月目です。
キズアトの盛り上がり・赤みも改善しつつあり、ツッパリなどの運動制限もありません。
受傷して骨折が心配なら、当然整形外科やレントゲンの撮れる総合病院を受診していただきますが、たいしたことがないように見えても少しでもキズが気になれば形成外科などの創傷治癒の専門家に診てもらうことをお勧めします。
とは言ってもケガをしないことが一番です。
予防としてはなるべく自転車での二人乗りをさけること、小さいお子さんを後部に乗せるときには幼児用座席を取り付け足乗せ部に正しく足を乗せること、またはドレスガードをつけスポーク部に足が入らないようにすること、サンダルなどの巻き込まれやすい形状の履物を履かないことなどがあげられます。
まさに「予防に勝る治療なし!!」です。
<参考>スポーク外傷についての政府広報ページへリンクしますので、ゼヒ一度ご覧ください。
☞ スポーク外傷(政府広報ページ)